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今日から私は心の旅人~♪(ネタバレあり) [雑談]

「風立ちぬ」



8月のシュラバラバンバが一段落し、ようやくチャンスを得て観に行って参りました。

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宵っ張りの生活にふさわしい、深夜0時25分っから上映のレイトショー。
自宅から単車を軽く飛ばして10分ほどのところに大きいシネコンがあるので、
もう家着でちょっと散歩、といったお気軽シチュエーションです。

売店でホットコーヒーとキャラメルポップコーンを買い、入場。



「相変わらずNO MORE 映画泥棒のキャラ、怖えな~」

次々と流れるCMや予告編。
そしてその最後に、これが。↓

kaguya.jpg

ひたすら着物を脱ぎながら都の大通りを走り抜けていくかぐや姫「らしき」物体を
あっけにとられながら見る。

「うわ…高畑さん、またやらかしちゃったのかも…」

そのへんな余韻を引っ張りつつ、本編突入。
※ここからはネタばれを含みますので、ご注意を。

結論から先に言うと、もののけ姫以降の宮崎作品(ジブリ作品、ではなく)の中で一番の出来だったと思いました。
いや、大傑作か、といわれると決してそうではないのですが。

千と千尋の神隠し、ハウルの動く城、崖の上のポニョと、映画館で見ている最中は時間を忘れてしまうほど画面に釘付けになるのに(ポニョだけはちょっと例外で居眠りしるほど退屈なシーンもありましたが)、終わって映画館を出ると余韻が全くなくて、もう一度見たいと思わない。
でも子供のためにレンタルDVDを借りたり、日テレで放送がある時は見直したりして、その時はまた画面に釘付けになる。で、終わると何も残らない。

私の中で宮崎アニメはずっとこんな状態を繰り返していて、これは一体何なんだろう…と考えた末、

宮崎さんのアニメーターとしての技量・演出力があまりにも突出していて、破綻したストーリーやキャラ構成を見ている間は全て忘れさせてしまうからだろう。

という結論に達していたのです。

だから今回の風立ちぬも、きっとそんな印象を持つんだろうな、と思って観始めました。
作品のいい悪いは抜きにして、それも「あり」だと思っていたからです。

でも、始まってみると、何かが違う。
夏の夜、蚊帳の中で寝ている男の子が飛行機を操縦する夢を見ている。
相変わらず空を飛ぶ描写力は素晴らしいのだが、いつもの迫力は、ない。

千と千尋でハクが大量の紙人形と戦っているシーンや、
ハウルの城がどんどん壊れて行くシーン、
そしてポニョの洪水の描写…いや、もっと原点に帰れば未来少年コナンのような普通の人間にはありえないようないわゆるアニメならではのオーバーな動きが、わざとしか思えないぐらい抑えて描かれていたのです。

「あっ。なんか違うことしようとしてる」

咄嗟にそう思いました。
今まで「アニメーションは基本的に子供のもの」と公言してきたあの宮崎さんが、
そうじゃないものを作ろうとしている。

これだけで、私には十分だったのかもしれません。

子供が退屈して映画館内を上映中にもかかわらずウロウロしている、という話もうなずけます。
どう見たって子供向けには作られていない。
ただ、商売的にはそこをちゃんとアピールしていないので詐欺的な気はしましたが(笑)


「兵器や武器は大好きだけれど、戦争は大嫌い」

宮崎さん自身が抱えているこの矛盾を主人公も背負っていて、
主人公の設計する戦闘機が、現実に敵を攻撃・破壊・殺傷するものであるという分、
アニメーターとして武器や兵器を描く宮崎さんの抱えるものよりもよっぽど重い、
というところが、単なる自分の投影だけに終わらず、
紅の豚などで私が特に感じていた自己満足で自己完結的な臭いをさせていなかったこともすごくよかったと思いました。


アニメというより、映画を作りたかったのかな、宮崎さん。
全体的な作りとしては、すごく邦画っぽいな、とは感じました。


もちろん不満もあって、やっぱり主人公の声を庵野秀明がやったのは自分的には400%ナシでしたね。
いや~、あれが味わいとかいわれても。
そんなことしてる暇があったら早くエヴァを完結させてください、なんて余計なところに考えが行ってしまうぐらい、ナシだったなあ。

あと、やたらとチュッチュッとキスをしたり、新婚初夜の描写などは入れてもいいけど中途半端な感じがしましたね(笑)
巷ではハウルの監督をクビになった細田さんがつくった「おおかみこどもの雨と雪」で出てきたラブシーンに対抗したのではないか、なんて言われていますが…
ちょっと石ノ森さんにライバル意識をむき出しにした手塚御大みたいだな、って思いましたね。

ユーミンの歌も雰囲気もので、歌詞とか実は何も内容とはリンクしていませんしね。
今までになく深い作品だと思ったので、余計にそう思いました。




さて…これを書いている最中に、引退報道が出ました。
もう何度目かになりますが、今回は年齢的にも信ぴょう性が高そうですね。
風立ちぬでいろんなことをやり切ったと感じたんでしょうかね。

この先は、ジブリの看板背負わずに好きなものを好きなだけ描いて欲しいな…と個人的には願います。

いや、正直宮崎作品の感想を日記で書くなんて思っていませんでした。
観た人の分だけ、いろんな意見があると思うので、何か感じられた方は、
コメント聞かせてもらえると嬉しいです。

よしっ、自分も頑張らねば!

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